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ニンジャ★チアリーダーとは?3つの顔を持つ女子大生の活躍
昼間はチアリーディング部の人気者、夜はポールダンサー、そして秘密の「ニンジャ」としての顔を持つ3人の女子大生が主人公の2008年アメリカ映画がニンジャ★チアリーダーです。一見すると単なるB級エンタメ映画に思えますが、意外な魅力と熱狂的なファンを持つ作品として知られています。
エイプリル、モニカ、コートニーの3人は、ロス・ロマス・マラス短期大学に通う女子大生。学校ではチアリーディング部で活躍し、学園のアイドル的存在です。しかし彼女たちには知られざる二つの顔があります。放課後は柔術の達人Mr.ヒロシの下で忍者としての修行を積み、夜はヒロシが経営するクラブでポールダンサーとして働いています。
4年制大学への編入資金を稼ぐため、日々を忙しく過ごす3人。そんなある日、師匠のヒロシがマフィアに誘拐されてしまいます。3人はニンジャとしての能力を駆使して恩師の救出に向かいますが、その前に大学の編入試験やポールダンスのコンテストなど、様々な「障害」が立ちはだかります。
ストーリー詳細:忍者、チアリーダー、そしてダンサー
忍者の修行と本当の目的
映画は、軍の基地に忍び込み日本刀を盗み出す3人のシーンから始まります。彼女たちは「ヒロシ道場」で忍者の末裔を名乗るヒロシから修行を受けており、この任務が最終試験でした。実は彼女たちが忍者修行をしている理由は単純で、4年制大学への編入資金を稼ぐためです。
3人はそれぞれ家庭の事情から学費を自力で稼がなければならず、ヒロシが経営するクラブでポールダンスを踊りながら学資を稼いでいます。そして、間近に迫るポールダンス大会で優勝すれば、夢の目標額に到達する見込みでした。
マフィアとの対決
ある日、ヒロシ道場を訪れた3人は、中が荒らされ金庫(彼女たちの学資も含む)が盗まれ、ヒロシが拉致されたことを知ります。どうやら、クラブの権利を巡って街のマフィアとトラブルがあったようです。
調査の結果、マフィアのボス、ヴィクター・ラザロが背後にいることが判明。彼はかつてクラブを所有していたものの、服役中に売却されてしまい、ヒロシがオーナーになったことに怒りを持っています。3人はマフィアの集まりを急襲しますが、ヒロシを救出するには至らず一旦退散します。
立ちはだかる「闇のニンジャ」キンジ
ラザロは3人の実力を知り、「闇の女ニンジャ」キンジを雇い、3人の抹殺を命じます。キンジは祖国を追われたという設定の東洋系女性で、カタコト日本語を話し(「キンジ、敵、倒す」など)、強力な忍術の持ち主です。
一方、3人は大学の編入試験やチアリーディングの大会、さらにはポールダンス大会と忙しい日々を送りながらも、師匠の救出計画を練ります。彼女たちはマフィアの手下から師匠の居場所を聞き出すことに成功しますが、まずはポールダンス大会に出場して学資を確保することを優先します。
クライマックス:意外な展開
ポールダンス大会を終えた3人は、ついにヒロシが監禁されている倉庫を急襲します。しかし、ここで意外な展開が待っていました。手足を縛られていたはずのヒロシは、あっという間に「ニンジャの縄抜け」を披露し、ボスのラザロの前に立ちはだかります。ラザロがヒロシに銃を向けますが、ヒロシはボスの手をひねり、自らを撃たせるという奇妙な行動に出ます。
その場に駆けつけた3人ですが、闇のニンジャ・キンジが立ちはだかります。キンジの圧倒的な強さに苦戦する3人。絶体絶命のその時、意外にも傷を負ったはずのヒロシが登場し、キンジとの戦いに加わります。最終的にヒロシは3人を助け、キンジを打ち破るのです。
作品の特徴:笑いと真面目さが混在する世界
B級映画としての味わい
ニンジャ★チアリーダーは典型的なB級映画の要素を多分に含んでいます。低予算ながらも、格闘シーンは意外にもクオリティが高く、テンポの良いストーリー展開で観客を飽きさせません。特に3人の女性が次々と敵を倒していくアクションシーンは、本格的な格闘映画として楽しめる要素があります。
また、シーンの切り替わり時に「ニンジャの『むんっ!』」「チアリーダーの『ヘイっ!』」「ダンサーの『オパぁ~イ!』」といった挿入カットが入る演出も、B級映画ならではの独特の魅力となっています。
キャラクターの魅力
本作の最大の魅力は、やはり個性的なキャラクターたちです。主役の3人は単なる美女ではなく、大学に編入するために必死で勉強し、学費を稼ぐためにストリッパーとして働くという、ある種の健気さを持っています。
特に注目すべきは、ヒロシ役のジョージ・タケイの存在感です。スター・トレックのスールー役で知られる彼は、終盤で意外な強さを見せ、本来なら主人公が活躍するはずのクライマックスで、むしろヒロシがすべての敵を倒してしまうという意外な展開を生み出します。
ジャンルの混在
本作は「忍者」「チアリーダー」「ストリッパー」というまったく異なる要素を強引に組み合わせた作品です。映画のタイトルには「ニンジャ」と「チアリーダー」が含まれていますが、実際の内容は「ストリッパー」要素が最も強く、「ニンジャ」要素は比較的薄いという奇妙なバランスになっています。
しかし、この不思議な組み合わせが逆に作品の個性となり、カルト的な人気を得る要因となったとも言えるでしょう。
作品評価:賛否両論あるB級映画の世界
批評家からの評価
本作に対する評価は賛否両論です。B級映画としての愛すべき要素を評価する声がある一方で、「ゴチャゴチャでペラペラなストーリー」「脚本が酷い」という批判的な意見も少なくありません。
特に指摘されているのが、主人公たちの行動の一貫性のなさです。師匠が誘拐されたという設定でありながら、彼女たちはその救出をひたすら後回しにし、大学の試験やポールダンス大会を優先します。また、クライマックスでは師匠のヒロシが全ての敵を倒してしまうため、主人公たちの存在意義が薄れてしまうという指摘もあります。
ファンからの支持
一方で、本作を楽しむファンは「真面目に見るものではない」「B級映画の魅力を存分に味わえる」と評価しています。特に、各シーンの出来や個々のキャラクターの魅力は高く評価されており、「テンポのよさで退屈しない」「キャラクターが立っている」という点が支持されています。
81分という短めの上映時間も、気軽に楽しめる要素として評価されています。
まとめ:絶妙なバランスで成立するカルト作品
ニンジャ★チアリーダーは、2008年に公開された典型的なB級映画です。しかし、その奇妙な設定や個性的なキャラクターたち、テンポの良いストーリー展開により、単なる低予算映画を超えた魅力を持っています。
脚本の穴や矛盾点は多々あるものの、それを補って余りある独特の世界観とキャラクターの魅力、そして意外なクオリティのアクションシーンが、この作品を愛すべきカルト映画として位置づけています。
忍者、チアリーダー、ストリッパーという一見無関係な要素を強引に組み合わせた本作は、B級映画ファンなら一度は見ておきたい作品と言えるでしょう。そして、意外にも映画の最大の魅力は、ヒロシ役のジョージ・タケイにあるのかもしれません。
「ニンジャ★チアリーダー」は決して高尚な映画ではありませんが、「楽しさ」を追求した作品として、独自の地位を築いているのです。