サメ映画Z級の世界へようこそ!クオリティを超えた奇想天外の魅力

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Z級サメ映画マニアに聞いた本当に面白いサメ映画

「ジョーズを超えることだけはできない」というのがサメ映画の世界の常識です。ではいっそのこと、真逆の方向に振り切ってはどうでしょう?そこにはB級どころではない”Z級”という全く新しい映画体験が広がっています。予算不足、奇抜な設定、粗雑なCG…それなのに、なぜか目が離せない魅力がZ級サメ映画にはあるのです。今回は、一般人には理解不能な「サメ映画Z級」の世界に潜入し、その底知れぬ魅力をご紹介します。

サメ映画Z級とは?B級を下回る”底抜け”の定義

サメ映画における格付けとZ級の位置づけ

映画業界ではA級、B級などのランク付けがありますが、サメ映画の世界ではさらに奥深い階層が存在します。

  • A級サメ映画: 「ジョーズ」や「ディープ・ブルー」などの大作
  • B級サメ映画: 「シャークネード」シリーズなど、ある程度の予算と知名度を持つ作品
  • Z級サメ映画: B級をはるかに下回る超低予算、低クオリティの作品

「B級未満のサメ映画のこと。低予算、低クオリティ、ひどCGのサメ、とんでも展開、寒いギャグ、ストーリーが意味不明すぎて途中で視聴を諦めたくなる、これサメじゃなくて良くない?など…分かって見る人の誰もがそのクオリティに一切の期待をしていない」と、サメ映画研究家はZ級サメ映画を定義しています。

Z級サメ映画の特徴的要素とクオリティ

Z級サメ映画には明確な共通点があります:

  1. サメが出ない: ファンが集まって語る”Z級サメ映画あるある”の最大のネタが「サメが出ない」という驚くべき特徴です。「たとえば『アフター・ザ・ストーム』は映画としては結構おもしろいんですけど、サメが出るのは約3回。海洋パニックものですらないヘミングウェイ原作の人間ドラマです」とサメ映画マニアは語ります。
  2. 映像の使い回し: 「どこかから買ってきた資料映像を繋ぎあわせてそれっぽく見せてるだけの映画も多い」というのもZ級の特徴です。映画によっては資料映像が被り、「このサメ他の映画でも見たな」という déjà vu を視聴者に味わわせます。
  3. 尺稼ぎの極端さ: 「ビキニ女が水を掛け合うシーンや森の中を無言で歩くシーンは何分もノーカットで尺稼ぎする」など、明らかな”時間埋め”が散見されます。中には「上映時間の1/4がスタッフロール」という驚きの作品も。
  4. 破格の設定: 「サメが空を飛ぶ」「雪山を泳ぐ」「水さえあればどこにでも現れる幽霊サメ」など、物理法則を無視した荒唐無稽な設定が乱立します。
サメ映画の空飛ぶサメ

サメ映画Z級の歴史と進化

『ジョーズ』から進化?退化?するサメ映画の系譜

サメ映画の歴史は明確に「ジョーズ以前」と「ジョーズ以降」に分けられます。1975年の『ジョーズ』は映画史に革命を起こしましたが、それ以降のサメ映画は二つの道を辿りました。一つは真摯にサスペンスを追求する道、もう一つは奇抜さを極める道です。

「『ジョーズ』台頭以降、様々なサメ映画が作られ始めることになるわけだが、1999年の『ディープ・ブルー』がひとつの転機になる」とサメ映画進化論では述べられています。そこから遺伝子操作や科学実験でパワーアップしたサメという設定が徐々に一般化。BRUTUS.jp

2009年には『メガ・シャークVSジャイアント・オクトパス』で「サメが天高く飛び上がってジェット機を撃墜する」シーンが登場し、サメ映画は新たな次元へと足を踏み入れました。2013年の『シャークネード』でその傾向はピークを迎え、以降はもはや「なんでもあり」の時代に突入します。

低予算制作の「創意工夫」と意図的な”ひどさ”

Z級サメ映画の真髄は、その限られた予算内での奮闘にあります。

「手ブレが酷かったり演者の台詞がとんでもなく棒読みだったり明らかにフリー素材な景色の映像の画質が一番綺麗だったりなんてことはよくある。それどころか、もはや存在しない小道具を、あるていで演技を続ける」という制作現場の窮状が伝わってきます。

にもかかわらず、作り手たちは限られたリソースの中で最大限の”サメ感”を表現しようと努力しています。その度を超えた真剣さと、明らかな予算不足のギャップが、皮肉にもZ級サメ映画の魅力の一つになっているのです。

Z級サメ映画の傑作たち

『ジュラシック・シャーク』-Z級の代名詞

ジュラシック・シャーク

Z級サメ映画を語る上で避けて通れない作品が『ジュラシック・シャーク』です。サメ映画マニアによれば「ひどい。この監督が撮る映画はだいたいひどい。ひどい映画が観たいときはコレって作品です」と評されるほど。

「何度も使いまわされるサメCG。カットされる捕食シーン。そのくせビキニ女が水を掛け合うシーンや森の中を無言で歩くシーンは何分もノーカットで尺稼ぎする」という制作手法が批判の的となっています。オモコロ

一見するとただの低予算映画ですが、あまりにも典型的なZ級サメ映画の特徴が凝縮されているため、皮肉にもジャンルを代表する作品となりました。

『ゴースト・シャーク』-水さえあればどこにでも

ゴースト・シャーク

『ゴースト・シャーク』は「殺された恨みから幽霊になったサメが水のある場所ならどこにでも現れて人を襲う」という斬新な設定で知られています。

「水があるところならプールでもお風呂でも水たまりでも水道でもどこにでも出没するという設定」が話題を呼び、トイレからも登場するシーンは多くの視聴者の予想を上回る展開でした。note

サメ映画ファンからは「最後の最後まで緊張感を保ち、しっかりエンタメとしても見せてくれる良作」と評価される一方、「サメのゴースト姿はチープだけどサメ映画の中ではストーリーはちゃんとしてる」という意見もあり、Z級の中では比較的まともな部類に入る作品とされています。Filmarks

『アイス・ジョーズ』-雪山を泳ぐ理由なき反逆

アイス・ジョーズ

『アイス・ジョーズ』は「雪山に祀られていたトーテムポールを倒したらサメの幽霊が復活して、雪中を泳ぎまわって人を襲う」という、もはや理解不能の設定が売りです。

「雪山であってもビキニ、よく分かってる」とサメ映画ファンから皮肉を込めて評されるように、設定自体の荒唐無稽さはあるものの、サメ映画のお約束(ビキニ美女の登場)は忠実に守っているという矛盾が面白い作品です。

「スキー場で人を襲う化け物がサメである必要性は皆無」という厳しい意見や、「おまけに本作の主役であるサメは封印された精霊である。もはやサメが出さえすれば飛びつく、ダボハゼ向け」という酷評も見られます。

B級映画ゆめちゃワールドは、アイスジョーズのネタバレ記事もあります。

『シャークネード』-SNS時代に咲いた奇跡の大ヒット

シャークネード

Z級サメ映画の中で奇跡的に大ヒットしたのが『シャークネード』シリーズです。「トルネードに巻き上げられたサメの大群が降り注ぐ」という前代未聞の設定が、SNSで爆発的に話題になりました。

「SNSで定期的に話題化し、本国アメリカではテレビ放送時にTwitter全米トレンド1位、レディー・ガガもTwitterでつぶやくなど社会現象となった」という異例の成功を収めています。

シリーズ第2作『シャークネード カテゴリー2』では「空飛ぶサメに対抗して、人間もチェーンソー片手に空を飛ぶ」というさらに斜め上の展開も登場。サメ映画マニアは「そのシーンを観たとき、本当に感動して涙ぐみました」と語るほど、Z級サメ映画の魅力を凝縮した作品となっています。

Z級サメ映画の楽しみ方

「低クオリティを受け入れる」マインドセット

Z級サメ映画を楽しむ鍵は、その低クオリティを受け入れ、むしろそれを愛でる視点にあります。

「そんなZ級映画を楽しむ時に大事にしたいことは、登場人物が見ていること感じていることは映像のチープさと関係なく劇中で起こっていることである、と思うことだ」という姿勢が重要です。

「低いことは分かっているんですけど~~ニヤニヤ」みたいに許されようとする作品より、「低いからこそ突き抜けろ!!!!作品世界から逃げずに描ききれ!!!!!」と堂々と低予算作品であることを受け入れている作品の方が、視聴者の心を掴むということです。

友人と一緒に”突っ込み”を入れながら観る醍醐味

Z級サメ映画は一人で黙々と見るより、友人と一緒に見て盛り上がるのが正しい楽しみ方です。

「あんよはじょーずは床上手♪」「雪山の人喰いシャークが美味しそうなマグロに見えました(😉」などの感想に表れているように、思わず突っ込みたくなるシーンの連続がこれらの映画の魅力です。

実際、SNSで友人と視聴体験を共有することで、さらにZ級サメ映画の楽しさは倍増します。『シャークネード』がTwitterで全米トレンド1位になったのも、共有の喜びがあったからこそと言えるでしょう。

制作の”本気度”と”開き直り”を感じ取る視点

Z級サメ映画の真の楽しみ方は、その制作の「本気度」と「開き直り」を感じ取ることにあります。

「低クオリティであることを下手に恥ずかしがらず、胸を張って(るように見える)作品を作る姿勢は非常に見習いたい」という視点で見ると、新たな魅力が見えてきます。

例えば『シャークネード』シリーズは「設定的にどうみてもZ級映画なのだが,なぜか真面目に面白い作品。まるでハリウッド映画を観ているかのような感覚になる」とも評されています。

Z級サメ映画がもたらす意外な感動と共感

予算を超えた”想像力”と”挑戦”への敬意

Z級サメ映画の魅力の一つは、限られた予算の中で最大限の創造性を発揮しようとする制作姿勢にあります。

「BAD CGI SHARK 電脳鮫」(サメ映画を作る兄弟の話)の監督は作品の中で「”こんな馬鹿共ができたなら俺たちにもできる”そう思わせてくれた最高のクソ映画たちに感謝を」と述べています。まさに低クオリティだからこそ勇気をもらえる側面があるのです。

限られたリソースの中でも、「サメが空を飛ぶ」「雪山を泳ぐ」といった前例のない試みに挑戦する制作陣の姿勢には、ある種の敬意すら生まれるのではないでしょうか。

低予算映画制作者たちの「諦めない精神」

Z級サメ映画は、予算の壁に屈せず映画を完成させようとする制作者たちの不屈の精神を体現しています。

「質の低い作品しか作れない己の技量から逃げるな!低いからこそ突き抜けろ!!!!それがお前の持ち味になるんだよ!!!!!!!!!!!」というメッセージが作品から伝わってくると、視聴者は感銘を受けるのです。

こうした「諦めない精神」こそが、何度も続編が制作されたり、SNSで話題になったりする要因の一つなのでしょう。

あなたもZ級サメ映画を始めてみよう

初心者向けおすすめZ級サメ映画ガイド

Z級サメ映画の世界に足を踏み入れるなら、以下の作品から始めることをおすすめします:

  1. 『シャークネード』: Z級でありながら人気・知名度が高く、初心者にも入りやすい
  2. 『ゴースト・シャーク』: Z級らしさを持ちながらも、ストーリーが比較的しっかりしている
  3. 『ジュラシック・シャーク』: 「ひどい映画が観たいとき」の基準となる代表作

サメ映画マニアによれば「『JAWS』『ディープ・ブルー』『シャークネード2』の3本くらい観ておけば”サメ映画はだいたい分かった”と言っていい」とのこと。まずはこの3作品を押さえておくのも良いでしょう。オモコロ

視聴後の感想共有で広がるZ級コミュニティ

Z級サメ映画の楽しみの一つは、視聴後に感想を共有することです。「近くに同好の士がいる…!」と感じられる瞬間は、サメ映画ファンにとって特別な喜びです。

SNSでハッシュタグを使って感想をシェアしたり、映画レビューサイトで自分なりの評価を投稿したりすることで、同じ趣味を持つ仲間と出会えるチャンスが広がります。

「サメ映画って、何かわからないけどファンがついてて」という状況が現実にあるように、Z級サメ映画は一種のコミュニティを形成しています。あなたもその一員になってみませんか?

Z級サメ映画は、クオリティの低さを逆手に取って独自の魅力を生み出すエンターテイメントです。初めて見る人は「なぜこんな映画を?」と思うかもしれませんが、その魅力に取り憑かれると抜け出せなくなるでしょう。サメ映画マニアの言葉を借りれば「奥は浅いですよ。横に広いけど」。Z級サメ映画の世界は、広大な海のように、あなたの冒険を待っています。

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